地獄・極楽〜宇佐市安心院町〜
  
地獄に行って帰ってきたよ!  

 宇佐市安心院町にある「地獄・極楽」に行って、無事に帰ってきました。仏教では、人間をはじめあらゆる生き物は、六道という6つの世界をめぐり続ける存在とされました。人々にとって、最も行きたくない世界は鬼たちにさいなまれる地獄でした。こうした地獄のことなどは、いろいろなお経に登場します。かってわが国では、悪いことをすれば地獄に落ちると教えられて、いろいろな地獄の絵が描かれました。その絵は人々に社会のルールや道徳を守ることを教える教育の道具でした。

1.地獄とは
 地獄の概念は、仏教を信仰していたインドから中国渡り、日本に伝わりました。

2.人間は死んだらどこに行く?
 仏教では、死後に生まれ変わることを「輪廻転生
(りんねてんせい)」と言いますが、輪廻転生により行き先は天道、人道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道の6つの道に分かれます。地獄道は最も行いが悪かった者が行く果てのない世界です。

3.地獄には法律がある?
 地獄に落ちてしまう罪とは具体的にどんなことなのでしょうか。
 まず、地獄では仏教の5つの戒律「五戒」をベースに審査されます。
(1)「不殺生戒(ふせっしょうかい)」=殺生してはならない。
  体に止まった蚊は殺さず追い払うのです。鳥や牛といった生き物を殺して、 その肉を食べることも禁じられています。
 (2)「不偸盗戒(ふちゅうとうかい)」=盗みを働いてはいけない。
 (3)「不邪淫戒(ふじゃいんかい)」=不貞行為(不倫)を行ってはいけない。
 (4)「不妄語戒(ふもうごかい)」=妄言(嘘)をついけはいけない。
 (5)「不飲酒戒(ふおんじゅかい)」=飲酒をしてはいけない。お寺のお坊さん が飲むのは酒ではなくて、般若湯です。
 このような五戒は大抵の人は避けることが出来ません。地獄行きを避けるためには、より多くの善行を積まなくてはなりません。
4.初七日・四十九日の法要
 地獄では審査をされてから正式に地獄行きが通達されるまでかなりの時間を要します。審査は7日毎に7回行われ、最終は7日×7回で49日目となります。そしてその裁判を行うのが十王と呼ばれる10人の裁判官たち。その中にかの有名な閻魔大王がいるのです。
 仏事の法要は大抵7日ごとに7回あるのは、審理のたびに十王に対し死者への減罪の嘆願を行うためなのです。縁者や親族が追善供養を行っていると、その徳を認められ、人間界や天界に送られることもあると言われています。

5.極楽ってどんなところ?
 仏教の浄土系宗派では、「人は亡くなると極楽浄土に行く」とされています。浄土とは、一切の煩悩や穢(けが)れの無い、仏さまや菩薩さまが住む清浄な国土のことで、阿弥陀如来のいる浄土のことを「西方極楽浄土」といいます。
極楽浄土に行く人は、いまわの際(きわ)に枕元に阿弥陀如来が迎えに来て極楽浄土まで導いてくれるといいます。
 極楽浄土は、そこに住む人も素晴らしく、一切のストレスや苦痛を感じない世界で、蓮華の花が咲き誇り、黄金の大地で覆われています。人々は亡くなった後に極楽浄土に連れて行ってもらえるよう日々精進するのです。
 ちなみに、極楽浄土と天国は混同されがちな言葉なのですが、天国はキリスト教の価値観であり、極楽浄土とは関係ありません。

 @閻魔大王と馬頭羅刹(めずらせつ)  Aやっと地獄から出てきました。
  右にある穴の奥に極楽に行く竪穴が
 B極楽に行く竪穴。かなりの難所で、極楽にたどり着く前   に滑って、また 地獄に戻ってしまいそう…  C極楽では阿弥陀如来など多くの
   仏様が出迎えてくれます。


参考資料:H17年度企画展「おはなしの絵」 大分県立歴史博物館
      安心院のむかし話2010 安心院のむかし話2010編集委員会
      https://thegate12.com/jp/article/360

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